来月3日に開催されるCOMICCITY57福岡のサンプルです。
A5 40p 200円にて頒布いたします。
R18指定なので、大変お手数ですが、当日は年齢確認のできるものをお持ちください。
本編開始前(代打屋で活躍する前)の花形×星ですが、若干明子も絡んできます。
また、緩めではありますが、小スカ描写があります。苦手な方は注意してください。
目を覚まし、見上げた天井は見慣れた安宿のそれではなく、ぎらぎらとした装飾の集合灯が下がる高いもので、飛雄馬はここがどこか確かめるべく体を起こそうとした。しかして、本来であれば自由が利くはずの両手、その手首には金属製の拘束具が嵌められており、身を起こすこともままならない状態であった。
テレビで何度か目にしたことのあるこの拘束⸺枷は、警察関係者が容疑者、あるいは疑わしき人物を拘束する際に使用する手錠と呼ばれるようなもので、そればかりか二本の枷を繋ぐ鎖は短く、まったく身動きが取れないまま、腕は腹の上に乗せられている。
刑務所、いや拘置所にしてはやけに照明は悪趣味で、家具や調度品なども部屋には置かれており、寝かされているベッドもやけに柔らかい。
おれは夢を見ているのか。定食屋で浴びるように飲んだ酒で記憶をなくし、傷害事件でも起こしてしまったとでも言うのだろうか。
「おや、目が覚めたかね」
開いた部屋の扉から顔を出した人物を目の当たりにし、飛雄馬はこの状況が夢でも幻でもないことに気付く。
「花形っ、……」
全身が怒りに火照るのを感じつつ、飛雄馬は顔を出した男の名を呼ぶ。彼は後ろ手に扉を閉めると、ゆっくりとこちらに歩み寄るや否やベッドに膝を乗せ、距離を詰めた。
「手荒な真似をして申し訳ない。驚かせてすまなかったね」
「…………」
帽子も、サングラスも取り払われており、目の前の彼の顔を飛雄馬はまともに見つめることになる。あんなに高かった日は既に落ち、部屋の中は闇に支配されつつある。甘い匂いが鼻につくのは、花形が纏う香りのせいか。できることならふざけるな、と、この端正な顔に張り手のひとつでも見舞って、二度と見られぬようにしてやりたい。
「解いてほしい?」
花形が尋ね、手首を繋ぐ鎖を指で弄ぶ。重い金属が擦れ合う音がして、飛雄馬は目の前の彼を睨んだ。
「ここがどこだか答えてくれ。何が目的でこんなことをするんだ、花形さんは」
「安心したまえ。ここはぼくの屋敷でね。今、明子は出ているよ」
「な、っ…………馬鹿なことを! ねえちゃんに知れたらどうするつもりだ」
「誰もここには来ない。いや、入らせないようにしている」
「なんの、ために……」
さあ、なんのためだろうね、と微笑混じりに言葉を濁す花形から腕を離し、飛雄馬は、これを外してくれ、と喚いた。
「外してしまったらきみはまた逃げてしまうだろう。行先も知らせずに」
「花形さんには関係のないことだ。おれがどこで何をしようとあなたに迷惑をかけているつもりはないし、口を挟まれる謂れもない」
「ぼくはきみのことで頭がいっぱいで眠れない。来る日も、来る日もきみのことを夢に見る。口に出すこともはばかられるような悪夢を、ね」
「眠れ、ない……?」
ベッドに完全に乗り上げた花形の顔はもう目の前にある。せめて彼から逃れようと、顔の前に遣った両腕を繋ぐ枷から伸びる鎖が嫌な音を立てる。
まるで悲鳴のような、あるいは悪魔の囁きのようでもあり、幼少期に課せられたあのギブスの軋みにも似ている。すると、花形の手が臍下を撫で、飛雄馬は、驚きのあまり大きく体を震わせた。
花形が触れる箇所が熱く脈打つのがわかる。反応しているのだ、この拘束具に。
飛雄馬のスラックスを留めているベルトを花形がゆっくりと外していく。やめろと叫び、身を捩ろうにも手枷のせいでまともに動くことができない。スラックスの前をはだけられ、中から取り出されたそれから目を逸らし、飛雄馬は唇を強く噛んだ。噛み破った唇から滲む血の味が、唾液には混ざった。
「きみをとんだ体に作り上げたものだね、きみの父⸺お義父さんも」
「とうちゃ……っ、親父は関係ないだろうっ、」
「本当にそう思うかい?」
先走りの溢れた飛雄馬の男根を指で撫で、花形はその頂上にある鈴口を指先でそろそろとくすぐった。
「ぐっ、っ……う、」
耳元で鎖が擦れる音がする。嫌だ、と頭ではそう、思うのに、その奥、もっと深いところでこの音を心地良く思う自分がいる。
「腰を上げて」
「いっ、いやだ! 狂っていると、自分で思わないのか?おかしいとは微塵も感じないのか! 花形っ!」
「狂っている? いつもきみは他人事のように言うが、被害者はこちらだよ、星⸺いや、飛雄馬くん」
花形によって無理矢理に引き剥がされたスラックスと下着とが床下に落ちる、鈍い音を飛雄馬は聞く。熱い掌が腿に触れたかと思うと、足を左右に掻き開かれる。
「っ、…………!」
「痛くはしないから」
膝立ちになった花形を飛雄馬は自分の両足の間から見つめた。身動きが取れないのは腕だけのはずなのに、なぜこうも体が動かない。この、鎖のせい⸺⸺。
引き寄せられた体の中心を強引に貫かれて、飛雄馬は、ううっ、と呻き声を上げる。腹の中を押し広げ、奥へと進む花形の存在に背中を反らし、奥歯を噛み締める。
「あ……ぁっ、っ」
顔に乗せていた腕が滑り、頭の上へと落ちる。しまった、と見開いた目と、花形の視線が絡んで、飛雄馬の瞳は悔恨の念と、羞恥のそれから涙に潤む。
フフ、と花形が微笑むのがわかって、飛雄馬が顔を逸らすと目を閉じる。眦を涙が伝い落ちた。すると、何やら首元にひやりとした感触を感じて、飛雄馬は顔を上げる。
やや首筋に食い込むような形を取り、そこを一周した代物を⸺花形はよく似合っているよ、とそう囁いてから、ふいに腰を使い始めて、飛雄馬の口から漏れる声が裏返った。
「ひぃ、あ⸺⸺っ、!」
合わせて、手首を繋ぐ枷が嫌な音を立てる。全身はひどく熱いのに、耳元で不快な響きを奏でる拘束具はひやりと肌を刺した。視界がぼやけるのは、瞳を濡らす涙のせいか。
くすくすと笑みを溢す花形の顔が容易に想像できて、顔ばかりか耳まで火照るのがわかる。腹の中を掻き乱される感覚に、ようやく慣れてきた頃合いに、今度は浅い位置をゆるゆると擦られ、飛雄馬は体をよじった。頼りなく息を吐いて、ただただこの悪夢が一刻も早く過ぎ去ることばかりを願う。
「飛雄馬くん、目を開けて」
「っ…………」
首を横に振って、拒絶の意思を示すと、飛雄馬は、許してくれ、と小さな、か細い声で許しを請うた。
「嫌だと言ったら?」
両足を抱え上げられ、腹の奥深くを抉られ、飛雄馬は、その圧迫感から、うっ! と短く声を上げる。
抉った箇所を執拗に責められて、飛雄馬の体は次第にふわふわとした高揚感に襲われる。
「い、っ…………ふ、ぅう、」
「良くなってきたね、なに、わかるさ、飛雄馬くんのことなら、手に取るように、ね」
先程から花形が触れる場所は、何かが違う。腹の中を嬲られるばかりでなく、もっと違う、何か⸺⸺。瞬間、目の前に閃光が走って、飛雄馬は、ベッド上で体を縮こまらせると、体内の花形のいる場所から脳天に突き抜けた強烈な電気信号に、一際高い声を上げた。己の意思とは関係なく、体は戦慄き、腹の中の異物⸺花形を締め付ける。
「ん、んっ……」
「いくときは言いたまえ。勝手にひとりで果てるなんてひどいじゃないか……」
全身を甘い痺れに支配され、頭が働かない。体が戦慄く度に、情けない声が漏れ、手首を留める枷はそれを嘲笑うかのように鳴った。心臓がやたらに脈打って、体を熱くさせる。
先程のような強い衝撃こそ今はないが、飛雄馬の全身は小さく震え、未だ中にいる花形を締め付ける。
「っ、あ、あ……」
「しばらく時間がかかると思っていたが、期待外れだよ、いい意味でね」
フフ、とさも嬉しそうに花形は笑うと、今度は自分の番だと言わんばかりに腰の動きを再開させた。
「うっ、く……ぅう……あ、……」
ゆるゆるとその場所を撫でられたかと思えば、次の瞬間には突き上げられて飛雄馬は背中を反らし、与えられる快感を抗う術なく受け入れる。声を堪える理性もなくなり、ただただ母音の音のみを口から発するばかりとなった飛雄馬は、寄せられた花形の口付けに応え、そのまま腹の中に放出された熱さに身震いした。
唾液にぬめる舌を何度も重ね合わせて、漏れた吐息に体を震わせる。そうして、ようやく離れていった花形から解放され、飛雄馬はベッド上で小さく痙攣を繰り返した。腹の中からぬるりと這い出た花形が掻き出した体液が肌を撫でたことに喘いで、全身を包む脱力感からベッド上より一歩も動けなかった。
けれども花形は身支度を整えると、何事もなかったかのようにベッドから降り、どこからともなく取り出した煙草に火をつけた⸺⸺そこで一度飛雄馬の記憶は途切れている。
目を覚ませば、既に部屋のカーテンの隙間から差し込む太陽光は明るく飛雄馬はもうそんな時間か、と体を起こしかけ、独特の音で存在感を示した枷にハッ、と視線を遣った。
他、前記事にも書きましたが、サイトまとめ本(花星、伴星)も持っていきます。A5 各300円です。
こちらは数が少ないです。
当日、感染対策を万全にしてお待ちしています。
どうぞよろしくお願いいたします(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ